BIMの効能とIPD(インテグレーテッド・プロジェクト・デリバリー)

BIMとIPDは建設業界の将来を変えるコンセプト。

IPDは、米国の建設業界から生まれた新たなビジネスモデルです。最近、日本でもその言葉を聞かれるようになってきました。

IPD概念図IPDとは、建築家、エンジニア、請負業者、施主など、建築プロジェクトにかかわるチームが初期の段階から協力し、最適な建物を建てるという共有目的の下、最も有効な決定を共同で下すことを可能にする協業形態です。

多くの成功した建築プロジェクトの成功要因は、“チームの良好な関係”であり、建築家、エンジニア、請負業者が“良い建物をつくる”というモノづくりにおける目標を共有することです。
IPDは、こうした成功を実現するため、施主を設計段階から関与させて、単に初期費用にとどまらず、工事日程やパフォーマンスといった目標の設定にも関与できるようにします。 同時に、設計、エンジニア、施工などの各専門家にプロジェクトの結果に対するリスクと報酬を共有させることで、チームの中でお互いの責任の追及や転嫁ではなく結果や問題の解決策への注力を維持できるようにします。

このIPDの協業形態では、BIMテクノロジをプロセスの全局面で活用して、常に一貫したプロジェクトの情報をリアルタイムに可視化、共有できる環境が不可欠となってきます。各工程における専門家の能力を十分にプロジェクト活かし最適な建築を実現するためには、統合されたチームによるIPDの業務形態と、BIMテクノロジの環境が不可欠なのです。

プロジェクトフェーズ
プロジェクトフェーズのイメージ。従来はそれぞれのフェーズに対して、設計事務所、ゼネコンなどの担当会社がそれぞれの業務を分けてプロジェクトが進んでいました。IPDではプロジェクトチームが全てのフェイズに責任を持ち、コミュニケーションを図りながらプロジェクトを進めていきます。

Trapelo Road Project

First IPD Project in New England2008年にオートデスクが新しいAEC部門本社ビルをつくるプロジェクトにIPDを導入しました。
Trapelo Road(トラペロロード)と呼ばれるこのプロジェクトは、オートデスクの考え方を代表したプロジェクトとなりました。

BIMが基盤となったプロジェクトであり、BIMとIPDを導入し、成果を達成することが重要な目的でした。なぜならオートデスクがこれらのコンセプトの重要性をお客様へ主張をしているからです。BIMの技術があって初めてIPDが可能になります。Autodesk Revit を始め様々なツールを効果的に使い、IPDを実現しました。

また米国の環境評価制度、LEEDのプラチナ認定を目指したプロジェクトでもあります。
エネルギー利用や、使用する資材・仕上げ方法などにも注意を払いました。
サステイナブルデザインを実現するために、天然光をできるだけ使いエネルギー消費を抑えました。

デザインファブリケーションBIMとIPDはまだ実験段階の部分があります。実験をし、テクノロジーとアイディアが建築のプロセスとデザインを変革させるのを試しています。
そのひとつがデザインファブリケーション。
ビルの1階でセーリングパネルのデザインをAutodesk Inventor を使用して詳細なデザインを創り、データを製造現場で利用して生産をしました。 コストの削減も1つの課題であったので、モデルベースのツールを使ってコスト予測を行っています。

プロジェクトの事例をまとめたビデオを作成しました。こちらをご覧いただくことでBIMとIPDの関連性と、IPDが持つ期待感を感じていただけると思います。

ムービーで見る

建築業界をよりよいものに。
その考え方を支えるために、BIMは欠かせないツールなのです。